SPI/CPIで読み解くプロジェクトリスク——実データによる先行予測

Tech Lead・PM向けにSPI/CPIの式と意味を整理。Veda AIがJira/Backlogのイシューから指標を自動算出し、手作業レポートに頼らない監視・コントロールを実現します。

日本のテックリードやプロジェクトマネージャーにとって、最も負荷が高い作業のひとつは、「今、本当に遅れているのか?」を経営・ステークホルダーに説明することです。感覚や週次の口頭報告だけでは、炎上の兆候を捉えきれません。

本記事では、PMP®のコスト管理・スケジュール管理の中核である SPI(Schedule Performance Index)CPI(Cost Performance Index) を、式と実務の読み方までコンパクトに整理します。さらに、Veda AI が Jira / Backlog などの作業データから指標を自動算出し、手作業の進捗スライドに依存しない監視へ移行する方法を説明します。

SPIとCPI——2つの指数が示す「健全性」

いずれも 出来高(EV: Earned Value) を基準に、計画やコストとの関係を無次元の指数で表します。

SPI(スケジュール効率)

SPI = EV ÷ PV

記号意味
EV実際に完了した作業の計画価値(できた分の価値)
PV時点までに「完了しているはず」の計画価値
  • SPI > 1.0 … スケジュール面では計画より進んでいる(または同等)
  • SPI = 1.0 … 計画どおり
  • SPI < 1.0 … 遅延の圧力(例: 0.85 なら計画比で約15%遅れのシグナル)

CPI(コスト効率)

CPI = EV ÷ AC

記号意味
AC実際に発生したコスト(工数・外注費などの実績)
  • CPI > 1.0 … 同じ成果に対しコスト効率が良い
  • CPI < 1.0 … 予算を使いすぎている、または工数が膨らんでいる

SPI と CPI は独立です。スケジュールは緑でもコストは赤——この組み合わせこそ、Excelの一行「順調です」では見逃しやすいリスクです。

なぜ「報告ベース」ではリスクを先読みできないのか

多くの現場では、PMツール(Jira など)にデータがある一方、経営向けには PowerPoint やスプレッドシートに転記した Report-based の運用が残ります。

  • 転記のタイムラグで、SPI/CPIの悪化が1〜2スプリント遅れて表面化する
  • イシューの「完了」定義がチームごとに異なり、EVが主観的になる
  • 予測(EAC: Estimate at Completion)が式ではなく「雰囲気」で語られる

Tech Lead としては、ツール上の事実報告の物語がずれないことが重要です。指数は、そのずれを数値で可視化する共通言語になります。

実データからリスクシグナルへ——読み方のフレーム

監視・コントロール(Monitoring & Controlling)では、単発の SPI/CPI より トレンド が重要です。

  1. 黄域(例: SPI 0.85〜0.95) … 是正アクションを検討する早期警戒
  2. 赤域(例: SPI < 0.85) … スコープ・リソース・依存関係の再計画
  3. CPI 低下 + SPI 安定 … 品質コスト・技術的負債・見積もり甘さを疑う
  4. SPI・CPI 同時低下 … 統合変更管理(Change Control)と経営エスカレーション

このフレームは、オフショア開発の失敗パターンで述べた「計画フェーズの欠陥」が、実行・監視で数字として現れる段階に相当します。

Veda AI:Jira / Backlog から SPI/CPI を自動算出する

Gritは、進捗を言葉の報告だけに頼りません。 自社プロダクト Veda AI は、PMツールに残った イシュー・ステータス・工数の実績 を取り込み、EV/PV/AC の系統に沿って SPI/CPI をダッシュボード上で継続更新します。

現在のデータ連携(2026年時点)

コネクタ状態概要
Jira利用可能Atlassian OAuth 2.0 で接続。ワークスペース単位でプロジェクトを選び、保存後に最新イシューを同期してヘルス計算を実行
Backlog利用可能日本企業で多い Backlog からも同様にプロジェクト連携
Trello ほかロードマップIntegrations ハブで拡張予定(現時点では未提供)

手順のイメージは次のとおりです。

  1. 接続 … Veda の Integration Hub で Jira(または Backlog)を OAuth 認証
  2. 同期 … 選択したプロジェクトのイシューを取り込み、完了・残作業から EV を積み上げ
  3. 可視化 … ポートフォリオ/プロジェクトのヒートマップで SPI/CPI とリスクシグナルを一覧
  4. 予測 … 乖離が閾値を超えた場合、ガバナンス上の Issue / Risk として提示(PMP Engine)

週次でスライドを手作りする代わりに、ツールが既に持っている事実から指数を再計算する——これが「実データによる先行予測」の実務的な意味です。

Veda AI の SPI/CPI 可視化では、経営層と PM が同じ画面を見ながら、どのプロジェクトから手を打つべきかを議論できます。

Tech Lead が得られるメリット

  • 定義の一元化 … 「Done」の解釈をイシュータイプ・ワークフローに寄せ、EV のブレを減らす
  • レビューの短縮 … スプリントレビュー前に SPI/CPI のトレンドを共有し、議論を事実ベースに
  • オフショアとの共通言語 … 日越チームでも指数とヒートマップで認識を揃えやすい

まとめ:指数は「報告の飾り」ではなく、コントロールの入力

SPI/CPI は難しい記号ではなく、計画(PV)・実績コスト(AC)・出来高(EV) の関係を1行に圧縮したものです。Tech Lead / PM として価値を出すには、この入力を 手入力のレポートから 連携された PM データへ移すことが重要です。


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